森研究室

技術経営(MOT)

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先端技術を活用し新たなマーケットを創出でき、かつ、マーケットから新たな技術を創出しうる人材の育成が望まれている。科学技術立国を標榜するわが国は、科学インフラの水準は世界で2位にあるが、技術マネジメント力は30位にあると言われている。科学や技術を生み出す力はあるものの、それを実用化まで結び付け新たなマーケットを創出したり、いち早くマーケットのニーズを読み取り新技術を生み出す力を持った技術者の育成が必要である。

マーケットと技術の関係

このような背景の下に、文部省、経済産業省などは、MOT人材育成を目的とした施策を打ち出し、いち早くその必要性を認めた企業では コーポレートユニバーシティと呼ばれる企業内大学の設立と教育を始め、大学においてもこれまで私学を中心にMOT専門職大学院を設立したところもある。欧 米では、MOTの歴史は10年以上にも及んでいる。米国では、160以上の大学・大学院でMOTコースが設置され、毎年1万人以上が輩出されている。

MOT教育の目的実現に向けたMOT展開を計画しており、すでに技術経営戦略、知的財産マネージメントなどの講義が進められている。このMOTでは、従来になかった新たなアプローチでの教育が必要であり、これには3つの特徴がある。

東工大のMOTの特徴

第1は、教育法である。MOTでは、技術経営を策定する考え方、ツール、アプローチを教育する。MBA(Master of Business Administration)専門職大学院で行っている経営そのもののツールなどを主体にした教育は、MOTでもなされる。しかし、MOTで核となるのが、ケース(事例)に基づく技術経営戦略である。技術は日々革新しており、その技術背景、変化のスピード、そして、それにより引き起こされる社会、経済、法律の変化を考慮した戦略策定が必要となる。また、この変化に応じて、戦略を変化させること自体も戦略である。そこで、技術経営の教育には、実社会で今まさに動いているテーマを取り上げ、それをケース教材とし、また、常に変化を取り込んだ教材の更新が求められる。つまり、MOTの教材は"生鮮食料品"であり、これを元に生きた教育を行う。大学と企業が相互に連携をとり、学生も生きたテーマをもとに、インターンを通して実践教育を受ける。過去のケースと知識をベースとしシミュレーションを中心としたものではない。

第2は、分野である。技術ビジネス分野として大きく分けるならインフラストラクチャとベンチャがある。これまでは、技術イノベーション をベンチャに結び付けるかの議論が多くなされてきている。もちろん、日本におけるベンチャ育成は緊急課題であり、近年その成果は現れてきている。一方、イ ンフラを支える分野は、近年その活況が低下している。グローバルなマーケット、そして経済社会へのインパクトから、世界への発信を促すためにもインフラビ ジネスにおける技術経営戦略は重要である。ベンチャにおいても、ある程度事業規模が大きくなると、経営戦略の見直しが求められる。これにうまく対応でき ず、ベンチャは失速してしまうことが多い。もちろん、インフラを対象とする企業でも、企業内ベンチャが求められる。このようなベンチャ/インフラ両面から の循環型技術経営戦略は、これまでにないMOTの教育内容である。

第3は、文化交流である。ビジネスがグローバル化するほど、企業文化とマーケットの文化に根ざした技術経営戦略が求められ る。グローバル、つまりアメリカスタンダードとは異なる、各国とりわけアジアのマーケットに関わる技術経営戦略が益々重みを増す。文化に根ざした価値観、 アプローチなどを実践的に教育するためにも、たとえば、留学生と日本人のペアリングによる教育がある。

日本の技術系人材が、新しい技術を商業化するために重要なビジネス上の課題に精通することは、日本経済の再活性化の重要な 鍵となる。森研究室では、以上提案したプログラムによって、日々革新する技術の背景、そしてそれにより引き起こされる社会的変化を考慮した戦略策定ができる人材を育成している。[東工大技術経営戦略講義に関する新聞掲載記事]