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1. 計算工学

point研究分野

自律分散システム (Autonomous Decentralized System)

森研究室では、将来のシステムの在るべき姿、そしてその実現についてをコンセプトからアーキテクチャ、技術までを研究している。本研究室の基盤技術は、自律分散システム技術と呼ばれるもので、コンピュータからネットワークなどの分野にまたがるものである。自律分散システムは、生物をアナロジーとし1977年に森教授が提案したコンセプトに基づくものである。生体は細胞から構築され、成長し、新陳代謝による自己変化を続けて生きつづけている。この生体をアナロジーとして、個から発しこれらの自律的な制御と協調によりシステムをとらえる考え方によって、高信頼で稼働中も保守や拡張を実現するのが自律分散システムである。

history

point研究テーマ

(1) Autonomous Decentralized Database System (ADDS)

ADDSとは、自律分散システムのコンセプトに基づいた分散データシステムである。通常、データベースに対するトランザクション(データベースに対する更新などの処理)はACID特性と呼ばれる4つの特性が要求される。このうちの一つに一貫性がある。一貫性とは、物理学で言う「○○保存の法則」のように、トランザクションの前後である不変量に変化があってはならないということである。

ADDSは、この一貫性を弱め、各データベースが他のデータベースと同期を取ることなく、ある範囲内で自由に自分のデータベース内のデータを更新できるようにし、負荷を軽減している。この自由に自分のデータベース内のデータを更新できる量を、AV(Available Volume)と呼ぶ。各データベースはAVで割り当てられた範囲だけ自由に更新することが出来、更新して変化した分を、定期的に巡回するモバイルエージェントを使ったバックグラウンドコーディネーションによって、各データベースで同期を取っている。

ADDS

AVの導入によって、分散データベースの応答速度を改善すると共に、各データベースの異種なポリシーにも対応できるものとなっている。ADDSのように、自律分散システムは、異種な要求を持つものを適応させることが出来る点も大きな特徴である。このような異種性と適応性を、アシュアランスと呼ぶ。

(2) Faded Information Field (FIF)

FIF

現在、エージェント(代理人)と呼ばれる、ユーザの嗜好や状況をもとに、ネットワーク上を移動し、ユーザの求める情報を代わりに集めてきてくれるなどするソフトウェア技術が注目されている。そのエージェントを利用し、大規模に情報を配信しようというのが、FIFのアイデアである。FIFでは、情報を提供するSP (Service Provider)から遠のくに従って、一つのノード(情報提供サーバ)あたりの情報量が減り、ノードの数が増える。このFIF上を、ユーザが発信したPull-MAが登っていき、必要な情報を取得した後、またユーザの元に戻っていく。このFIFで提供する情報が更新されたとき、SPからは提供情報を運ぶPush-MAが、FIF上を、情報を減衰させながら降りていく。これがFIFのアーキテクチャである。

(3) コミュニティ

ダイナミックな環境・要求の変動に対して、システム側もダイナミックに対応する柔軟なシステムアーキテクチャとして森研究室が考えているのが、Communityアーキテクチャである。Communityアーキテクチャは、コミュニティと呼ばれるサブシステムのグループが形成され、状況に応じて自律的に柔軟に変化する。また、コミュニティ内では、情報・機能・リソースなどは共有される。Communityは、ユビキタス社会、そしてその後の社会を支える情報インフラのシステム技術とすべく、研究が進められている。

community

(4) アシュアランス・システム

アシュアランス・システムとは、異なるニーズレベルを持ち独立して稼動していたシステム同士を接続した際に、その異質なニーズに対する適応性を持ったシステムである。各システムは、お互いの相互作用とアシュランス性を侵害することなく、個々の持つニーズのレベルを保持することができる。例としては、リアルタイムシステム・非リアルタイムシステム、ミッションクリティカルなシステム・ユーザオリエントなシステム、制御システム・情報システムなどがある。